OB情報-長谷川元希選手 選手歴 ーーまずは改めて経歴からお伺いしても良いでしょうか? 長谷川元希選手:幼稚園の年中のときに親の影響でサッカーを始めて、最初はボール遊びレベルだったんですけど、小学生に上がってからは本格的にサッカーと向き合うようになりました。 ーー親の影響というのは、具体的にどのような影響ですか? 長谷川元希選手:両親共にスポーツをやっていて、父親がサッカーを好きだったのと、僕は1998年生まれなんですけど、2002年に日韓ワールドカップがあったので、そういった影響もあって両親が僕にサッカーを習わせたんだと思います。 ーー小学生のときはたけしのキッカーズさんでプレーされていたんですよね。 長谷川元希選手:そうですね。 たけしのキッカーズで6年間サッカーを教わって、中学では大宮アルディージャのジュニアユースでプレーしていました。 ーー大宮アルディージャのジュニアユースを選んだきっかけは何かありますか? 長谷川元希選手:ひとつ上の年代の大宮アルディージャジュニアユースが凄く強くて、より強いチームでプレーしたいということで選択しました。 ーーそのあとは大宮アルディージャのユースでプレーをされて、法政大学に進学されていますけど、プロにはならずに、あえて大学に進学したんでしょうか? 長谷川元希選手:いいえ。 高校卒業後すぐにプロになるということを目標にしていたんですけど、プロになれるか・なれないかの狭間にいて、最終的にはなれなかったので、そこで初めて大学を視野に入れました。 ーートップに昇格できるのは、毎年2・3人で、チーム事情もありますし、狭き門ですもんね。 大学サッカーはいかがでしたか? 長谷川元希選手:多くの人間にとって、大学はプロを目指せるラストチャンスなので、すごく努力している人間も多く、自分よりもうまい人間も多かったんですよ。 ※法政大学時代 ーープロ入りを目指しているモチベーションが高い選手が多かった訳ですね。 長谷川元希選手:大学生になると自分の時間が増えるので、時間をどう使うかによって個々の成長はだいぶ変わるんです。 正直、僕は大学に入るまでは努力というものをあまりしてこなかったんですけど(笑)、大学で、自分よりもうまい選手がめちゃくちゃ努力をしている姿を見て、自分も触発されましたし、身体も細かったんですけど、2年生までに5Kg増やすこともできたので、大学に行って良かったなと思っています。 ーー大学サッカーは自主性に任されていて、サボろうと思えばサボれる環境だと聞きますし、自分を律する力というのはとても大切なんですね。 長谷川元希選手:そうですね。 選手層も厚く、サボるとすぐに他の選手にポジションを奪われてしまうので、油断できませんからね。 新座たけしのキッカーズの思い出 ーー小学生のときの指導で印象に残っていることは何かありますか? 長谷川元希選手:伊藤さんは怖かったですよ(笑) 3年生のときから6年生の試合に出してもらっていたので、期待してくれてのことだと思いますけど、本当に怖かったです (笑) でも、技術面に関してはいろいろと指導をしていただいたので、もちろん感謝はしています。 ※新座たけしのキッカーズ時代 ーー具体的にはどのようなことを指導していただいたんですか? 長谷川元希選手:小学生のときはFWだったので、点を取ることに関してはめちゃくちゃ教わりました。 ーー今、正にそれが活きているんですね。 長谷川元希選手:はい、その時の指導が今に繋がっていると思います。 ーー今はMF登録だと思うんですけど、ポジションはどのように変わっていったんですか? 長谷川元希選手:小学生の頃は身長も大きく足も速かったので、周りの選手と比較すると身体的な面で有利な部分があったんですけど、中学生になると周りに追いつかれてFWで勝負できなくなってしまったので、それからはFWはやらなくなりました。 ーーでも、今シーズンはFW選手より点数を取られていますし、チャンスクリエイト数でもJ2の中で1番にもなっていますよね?(2022年5月現在) 長谷川元希選手:えっ、そうなんですか!? 知らなかったです(笑) サッカー選手になって意識が変わったこと ーー長谷川選手がプロのサッカー選手になって、意識が変わった点は何かありますか? 長谷川元希選手:サッカーがプロになってお金をいただく「職業」になったので、自分自身が楽しむだけではなく、今は観ている人を魅了もしないといけないなと思っています。 自分も子供のときにJリーグの試合を観に行って感動したこともあるので、次は自分が感動を与えられるように意識しています。 ーーお客さんのことまで意識しなくてはならないプロの選手は、やっぱり大変ですね。 長谷川元希選手:そうですね。 勝てなかったときや活躍できなかったときにはいろいろと言われて大変なことも多いですけど、ただ勝ったときの喜びというのはもう格別で、ほんとうにサッカーをやっていて良かったなって心から思えるので、そのためにも日々辛いことからも逃げずにコツコツやっていこうと思っています。 小学生にアドバイスをするとしたら? ーー小学生にアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいですか? 長谷川元希選手:身体はいずれ出来上がりますし、『基礎的な技術を徹底的に身に付けろ』と伝えたいですね。 ーーどのような練習をすれば技術は身に付くんでしょうか? 長谷川元希選手:基本的なリフティングも大切だとは思いますが、僕が小学生のときにやっていたのは、学校の登り棒でひたすらドリブルの練習をしていました。 プロになると全員の能力が高く、ちょっとした足元の技術やアイディアで差が付くので、小学生の頃にコツコツと身に付けたことは、後々自分を助けてくれると思います。 子供への接し方に関して ーーサッカー少年・少女を持つ親御さんにアドバイスをいただきたいんですが、親は子供とどのように接すれば良いと思いますか? 長谷川元希選手:どこを目指しているのかにもよると思いますけど、サッカー選手になるためには親が子に厳しく接するというのは仕方ないとは思うんです。 ただ、子供は純粋なので良いプレーをしたときには普段厳しくしている分、めちゃくちゃ褒めるようにして、メリハリを付けることが大切だと思います。 ーー厳しいだけでは、うまくならないということですね。 長谷川元希選手:僕も親が厳しかったので、ミスをしたらどうしようかなと考えることもあったんですけど、良いプレーをすると褒められたので、そういう心のケアというか、声掛けはサッカーを嫌いにさせないためにも大切だと思います。 ※右:長谷川選手、左:現ジュビロ磐田監督伊藤彰氏 ーーサッカーが嫌いになって辞めてしまっては、本末転倒ですもんね。 長谷川元希選手:あとは、お金が掛かってしまうことですけど、少年団以外にもサッカースクールに通うのも一つの方法だと思います。 他にも、親もサッカーが好きなのであれば、子供はなかなか自発的に練習はできないので、時間が許す限り一緒に練習に付き合ってあげるのも良いと思います。 僕自身も親が練習に付き合ってくれることがすごく嬉しかったですし、それで、ドリブルも上手くなったと思っているので、ボールに多く触れる環境作りをしてあげてほしいです。 伸びる選手の特徴 ーー今まで長谷川選手が接してきて、伸びる選手・うまくなる選手に何か特徴はありましたか? 長谷川元希選手:それは間違いなく自分に自信を持っているかどうかです。 自分に自信を持てないと、生き残っていけないというのもありますし、プレーにも出るんですよ。 いくら練習中にうまくても、試合になると消極的なプレーばかりになってしまって、試合に出られない選手というのを数多く見てきたので、自分に自信を持つということは凄く大切なことだと思います。 ーーすごく面白い意見ですね。 この質問をさせていただくと、純粋にサッカーがめちゃくちゃ好きな選手や素直な選手という意見が多かったですが、確かに自信というのは大切ですね。 長谷川元希選手:日本代表にも選ばれている僕の同期でもある『上田綺世』も決して技術的にめちゃくちゃ優れていた訳ではなかったんですけど、常に自信に満ち溢れていて、自分のところにボールが来いという想いや、周りに対してのボールの要求も激しかったので、やっぱり自信のある選手は、どんどんステージが上がっていくんだと思います。 ーーサッカー選手に限らず、自信を持つというのは大切ですよね。 内向的な選手や控え目な選手は、どうしたら自信が持てると思いますか? 長谷川元希選手:僕もそんなに気持ちが強いほうではないんですけど、試合前にはスイッチが切り替わるので、スイッチの切り替えがうまくできるようになると、普段は自信家ではなくても大丈夫だと思います。 ーー凄く勇気の出るアドバイスですね。 長谷川元希選手:あとは、ミスを気にしても状況は変わらないので、ミスを引きずらないことも大切だと思います。 ーーファーストプレーでミスをすると、そのままズルズルと引きずってしてしまうことも多いですよね。 長谷川元希選手:シュートを外してしまっても、決まるまで打ち続けようと考えることができれば、自ずと結果も付いてきて、自信を持つことができるはずなので、まずはポジティブに物事を捉えると良いと思います。 今まで出会った印象に残っている選手 ーー今まで出会った選手で印象に残っている選手はいますか? 長谷川元希選手:1番驚いたのは、現川崎フロンターレの家長昭博選手ですね。 大宮アルディージャユースのときにトップのキャンプに帯同させてもらったんですけど、その時のアルディージャには、家長選手や江坂選手、マテウス選手が在籍していて、正に黄金期だったと思うんですけど、その中でも家長選手の存在感は半端なかったですね。 ーーたしかに家長選手は凄そうですね。 長谷川元希選手:もうボール持ったときのオーラが違い(笑)、全くボールを取れる気がしませんでした。 ゴールを決めるコツ ーー長谷川選手は今シーズン得点も量産していて、調子の良さを伺えますけど、何か意識していることがあれば、サッカー少年の参考にもなると思うので、教えていただいても良いでしょうか? 長谷川元希選手:サッカーをやっている攻撃的な選手であれば、ゴール前が1番楽しいはずなので、プレッシャーに感じずに楽しんで相手と駆け引きをしたり、落ち着いて慌てずにボールをもらう前からいくつか選択肢を持っていれば、ゴールという結果は付いてくると思います。 サッカーチームの選び方 ーー今は少年団もジュニアユースのチームも多くありますけど、どのような観点でチームを選べば良いと思いますか? 長谷川元希選手:自分がどういうサッカーをしたいのかが1番大切だと思います。 チームによってはプレースタイルも変わってくると思いますし。 ※大宮アルディージャジュニアユース時代 ーーたしかにチーム戦術によっては、中盤の選手があまりボールを触れないこともありますしね。 長谷川元希選手:他にも、試合に「出る・出られない」の勝負は高校に行ってからで良いと思うので、小学生・中学生は試合に出場することを重視して、自分のプレースタイルに合うやりたいサッカーができるところに行ってプレーすることが大切だと思います。 サッカー少年に一言 ーーサッカー少年に取ってJリーガーは雲の上の存在だと思うんですけど、何かアドバイスをいただいてもいいでしょうか? 長谷川元希選手:小学生の頃にうまいからといってプロの選手になれる訳ではないですし、小学生のときに周りの子より劣っていたからといって、プロになれない訳でもないんですよ。 いろいろな道を歩んできた選手がプロになっているので、夢はあきらめないでほしいです。 ※大宮アルディージャユース時代 ーー遅咲きの選手もいますしね。 長谷川元希選手:ほんとうにそうです。 中学生・高校生になって伸びる選手もいるので、やっぱり努力し続けて、サッカーを心の底から楽しむことが大切だと思います。 プロになってからも監督にも言われるんですよ。 まずは自分自身が楽しまないと!って。 だから、とにかく楽しんでサッカーをやってほしいなと思います。 今後の抱負 ーー最後に今後の抱負をお伺いしても良いでしょうか? 長谷川元希選手:チームをJ1に昇格させることですね。 それが自分の役目だと思うので、必ず達成したいと思っています。 また、「全力で取り組んで、行けるところまで行く!」というのが自分のスローガンなので、常にチャレンジし続けて、自分の限界を見たいなって思っています。 ーーぜひ、私も長谷川選手の限界を見てみたいので、頑張ってください。 長谷川元希選手:ありがとうございます。 プロである以上は日本代表になる可能性も0ではないと思うので、楽しみながらチャレンジしていきたいと思います。 長谷川元希選手が所属していた少年団はこちら!